こんにちは。今回は先生の大学生時代の話をしたいと思います。

大学生のころ、「人生を豊かするのは、『読書と旅』だ!」と何かで見かけたことがあり、読書が苦手な私は、「よし、じゃあ自転車で旅をしよう!」と、ママチャリで東海道を横断したことがあります。

当時、私は大阪在住でしたので、大阪から東京の日本橋までの約500キロ、新幹線などの交通機関を利用すれば数時間の距離ですが、旅らしくするために、自転車での横断としました。

東海道というのは、江戸時代に整備された「五街道」の一つ、歌川広重の浮世絵「東海道五十三次」でも有名。当初は「江戸〜京都」であったのが後に「大坂」まで延長され(東海道五十七次)、現代ではさらに整備され、「国道1号線」となっています。

大学の長期休暇を利用したので、季節は真夏。本当に暑かった。昼間に進むことは諦め、夕方から深夜にかけて、出来るだけ進み、太陽が昇り、気温が上がった午前や日中は、休息や観光。そんなことを繰り返した約10日間。その道中、もちろんいろんなことがありました。

例えば、「昔の人は、月明かりで方角を認識していた。」とあるように、田舎道や山道では街灯もないところも多くあり、「月明かり」が道を照らす、街灯代わりなんです。

また、地図では「静岡県は横に結構長いな〜。」と思っていましたが、実際に本当に長い。 昨日も今日も、明日も静岡。その分、静岡を満喫しました。

そして、なんと言っても今回のママチャリ旅、最大の難所、「箱根越え」。 箱根峠は、毎年のお正月の風物詩「箱根駅伝」でも有名です。

「荒城の月」で有名な瀧廉太郎が作曲した「箱根八里」の歌詞のなかに、 「箱根の山は 天下の劍(けん) 函谷関(かんこくかん)も ものならず」とあるように、箱根峠は天下有数の難所であり、また、中国の関所・難攻不落の函谷関に例えられるほどの険しさ。そこに、温暖湿潤気候の特徴でもある「蒸し暑さ」も相重なって、気づけば、標高846mに到着するのに、なんと約6時間。

登り切ったあとには、これまで経験したことがなかった達成感があり、その後立ち寄った定食屋の食事は、一生忘れることのできないおいしさでした。

そして、芦ノ湖付近で宿をとり、翌日は早朝よりスタート。富士山を見ながらの山下りサイクリングでは、人生で指折りの絶景を堪能しました。

さて、ここで突然ですが、学生のみなさんに質問です。日々、勉強をしている中で、「何で勉強しなあかんの?」「こんな公式覚えたり、語句を覚えたりして意味がある?」などと思ったことはありませんか?

社会や音楽がとても苦手だった私は、学生だった当時よく思っていましたが、「定期テストのため」「入試のため」と割り切って頑張って覚えていました。でも、今思えばこの質問の答えは「人生を豊かにするため」だと思っています。まさか、苦手だった社会や音楽を「テストのために」と覚えたことが、この旅をこれほど豊かにすると思ってもいませんでした。

学生の皆さん、今やっている勉強は、高校入試だけではなく、いつか、何かで役に立ち、必ず意味があるものとなります。そして、皆さんの人生を豊かにしてくれることでしょう。そう信じて、頑張ってください。